太陽が燦燦と照り映える、夏の暑い8月となりました(投稿遅い)。いかがお過ごしでしょうか。そんな暑い季節を涼しく過ごせたら良いですよね。涼しいといったら何でしょう、水?風?あまいあまい。夏だからといって、夏の風物詩で考える必要はないんですよ。夏だから暑いんです。だったら、気持ちも心も感情も、何もかも冬にしてしまえば良い。私が最終製作課題として選んだのは、【雪の結晶の時計】です。頭の中では完成されています。その製作過程をお見せしましょう。
【構想】
前回の記事に投稿したように、構想はこんな感じでした。僕はまず土台となる『雪の結晶スタンド』を3Dプリンターで製作しました。
【製作過程1 雪の結晶スタンド】
良い感じに模様をつけながら、「それっぽい」スタンドをTinkerCADで製作しました。高さ14cm、横幅9cm、厚さ4cmと、小柄なスタンドです。ですがそれくらいの方が、置物インテリアとしても併用できるかなと思い、そうしました。
今回名前は忘れましたが、透明なやつ、使いました。「雪の結晶」というイメージに一番近いと思ったからです。UltiMakerCuraでスライスしてみると、7時間52分と出てきました。3Dプリンターで出力し、穴の数だけサポートがあったので1時間以上そのサポートを引っこ抜く作業していました。今回の製作で最も苦労したポイントです。その影響もあって多少雑に見えるところもあるのですが、逆につらら感あって良いですよね。とにかく柔らかくて、大変でした。でもなんとか壊れることなく、土台を完成させられました。
その後、針金を購入し、雪の結晶の角(?)の部分を作りました。ここは特殊な道具や技術は使わず、生来の手作業型ものづくり(?)の力でぐりぐり作りました。
ぽくない!?ぽいよねぇ。ぽいって言ってよ。
更に増やしましたが、ちょっと……きもかったので加えた6本は1週間後に取り外しました。
【イメージ参考】
前回の記事にも書かせていただいた通り、今回の製作は、Wiiソフト『毛糸のカービィ』に強く影響を受けています。ステージ5-4『ゆきのかんらんしゃ』のステージ入口や、ステージ内で手に入るたからもの『ゆきのけっしょうのとけい』をモデルにした製作を目指していました。まあ現実はあまくないってね。なぜ雪の結晶にこだわったか、だって雪って綺麗で神秘的でしょ?
【製作過程2 サーボモーター】
かつて、動かなくてキレて分解したサーボモーター……。しかし今回こそはうまく作動させてやるぜ!!具体的には、『時計』の部分ですね。やはりチクタクと動いてる姿は、メカメカしてて心が躍りますよね。別に楽しい要素はないかも知れませんが、少しでも「自分がものづくり戦士として存在していた」証を残すには時計が良いと思いました。サーボモーターの具体的なプログラムはいかの通りとなっています。
これはプログラム全体です。
時計に関するプログラムはこの2か所ですね。サーボモーターの最大の弱点、それは「180度までしか動かない」ということです。その弱点をどう克服したか……僕は克服しませんでした。180度、普通の秒針で考えたら30秒ですね。なんか30秒の時計というのも個性があって良いのではないかと感じました。時間を見るための時計というよりかは、砂時計、ストップウォッチなどの時間を測るための時計ですね。より実用性を感じてもらうために、ぬるっと『キッチンタイマー』に構想をチェンジしました。今回、作品タイトルにこだわりや矜持はありません。
変数や繰り返しを利用してプログラムを組みました。変数がなぜ-6ずつ増やすようになっているかというと、1周360度÷60秒で6度であり、6度ずつ増やすプログラムだと反時計回りにサーボモーターの針が動いてしまったので、マイナスにすることによって逆方向に動くようにしました。
これで、秒針のプログラムは完成です。たまに誤作動等もありましたが、電池を変えることでスムーズに動きました。チクタクと針を刻んだ様子を最初に見た時は普通に感動しました。この僕が……時計を発明しちゃったんだぞ?
ですが、時計だけだと寂しいと思った僕はサブ要素でおみくじを追加することにしました。これに関しては、はじめてmicro:bitを使った時につくった『はすこおみくじ』のプログラムを再利用して、10分の4、10分の3、10分の2、10分の1の確率で凶・小吉・中吉・大吉が当たる仕組みにしました。音楽と、サーボモーターの針の振れ具合で、何が出たかがわかるようになっています。これは、ほんとサブです。なんか未熟な分、いろんな要素があった方が良いかなと思ったんです。
【製作過程1.5 蓋】
実は、スタンドの真ん中の穴にカポッとはめられる蓋も作ったのですが、サーボモーターを直に釘で固定することができたので、この案は没になりました。
【製作過程3 micro:bitふたたび】
30秒たったらちゃんとわかる仕組みがもう一つくらいほしいと思いました。また、「雪の結晶」もっ形だけじゃないかと。そんな悩みを同時に解決するアイデアがありました。
今まであまり使っていなかった、micro:bitの音が鳴る機能を使って、30秒たったら『ゆきやこんこあられやこんこふってもふってもまだふりやまぬいぬはよろこびにわかけまわるねこはこたつでまるくなる』が流れるプログラムを組みました。正式名称がよくわかりませんね。実は滝廉太郎と文部省が関係するある種の都市伝説のようなものがあるんです。まあそんなのどうでもよくて、とにかく雪を連想させる簡単な曲だったので、1音1音はめました。
また、プログラムをよく見ていただければわかるのですが、「デジタルで出力する端子」ブロックも使って、LEDライトも点灯するようにしました。プログラム上はただ光るだけだったのですが、実際動かしてみたら、曲のリズムに合わせて点滅していて、よきせぬおしゃれポイントが出てきました。原因はよくわかりませんが、逆によきなのでスルーしました。まあそういうこともあるよね!!土台の素材が透明な分、青い光も綺麗に浸透してとても良い感じです。
【完成】
こちらが完成した『30秒後に雪が降るキッチンタイマー』です。秒針の針はストローで、正面から見て右側の穴にLEDライトがあります。※動かしている動画を撮り損ねてしまいました。もしこの先動かす機会あったら、撮って再掲いたします。
【改善点】
作品発表会では、たくさんの方にあたたかいお言葉をいただきました。また、研究室の方々からは、更なる向上のためのアドバイスをたくさんいただきました。穴のところにアクリルスタンドをはめてみるのはどうか、モーターによる回転で扇風機にしてしまえば、気分だけでなく実際に涼しくなれるのではないか、まもちゃんからも、半周から戻ることによって1分にできるとアドバイスをいただきました。より素敵な『もの』へと進化させるためのアドバイスをたくさんいただけて嬉しかったです。余裕があったら改善してみようと思います。
【感想】
今回、最終製作課題ということで今まで学んだ技術を活かして作ってみました。ほかの皆の作品が凄すぎてなんとも言えないところもありますし、自分でももう少しいろんなアイデアでこだわれたところもあるのではないかと思うったので、満足度的には75%くらいといったところでしょうか。でも、やっぱり、自分が作りたい!と思ったものを形にするという過程、そして実際に形にしたという達成感、これらは本物です。『ものづくり』としての誇りを、製作を通じて感じることができたのではないかと思います。今回の授業の経験は必ず今後に活かされると確信していますし、将来必ず役に立てることをお約束いたします。
【テンション任せで始めたドラマも完結させておかなければ……】
ものづくり本部最高幹部会……ここでは数年に一度、司令による推薦者がものづくり大将への下剋上を果たすべく、作品発表会という名のbattle of the productionが行われている。(君の)前前前回くらいの話で、イナゲ中将の引退により、新しく中将へと昇格した蓮子。本部最高司令官ソウブからこの発表会に声がかかったのは、まだ少将のバッジが更新されていない時期であった。蓮子は千葉駅にある本部で、『30秒後に雪が降るキッチンタイマー』を発表した。
蓮子中将「……これが私の作品だ。」
????「なるほど。確かに初々しくておもしろい作品だ。だがそれで大将の座は譲れないんだぜ。」
突如、現れた大柄の男。彼こそ、大将の座に君臨する、ものづくり界に名を馳せる最強戦士。
ソウブ 「君ほどの男が遅れてくるとはいったい何事かね?アーバンパーク君。」
アーバン「作品の試運転に時間がかかってしまいました。遅延ってやつです。」
ソウブ 「それでは現大将、作品の説明を。」
司令の言葉を受け、アーバンパークと呼ばれたその男は私に向き直り、いきなり長々と喋りだした。
アーバン「はじめましてだね蓮子君、私はアーバンパーク・ヒガシタケ。未だ私の最高傑作は誰にも破られていない……前大将だったノダ大将を打ち破った10年前からな。ところでひとつ君に質問をしよう。君は日常に蔓延るあらゆる『もの』の作者を知っているか?答えはNOだろう。そう優れた作品は当たり前に世間に浸透するのさ。そのほとんどが、作った人のことなど知られない。君の作品は『自分の色』が強すぎる。『雪の結晶をイメージしてほしい』というのは自分のエゴではないだろうか。」
質問と言いつつ回答の暇を与えず断言。はっきり言って嫌いだ。そう顔をしかめた私に、アーバンパークはもうひとつ質問を投げかけた。
アーバン「ところで君は、柏出身だったかな。柏から千葉まではどうやって行くんだ?」
蓮子中将「東武野田線で船橋まで行き、そこから総武線で千葉まで行きます。」
アーバン「東武野田線と総武線……その通りだな。ところで、君は平成26年から東武野田線の名称が変わったのを知っているか?」
蓮子中将「……東部アーバンパークライン。」
アーバン「それこそ、私が提出する作品の名前だ!君は戦場に来る前に既に、敵の作品の実用性を証明してしまっていたのだよ!!」
ソウブ 「……勝負あったな。」
なんだかよくわからないが負けてしまったらしい。こうして私は、ものづくり大将になることはできなかった。
ソウブ 「『自分の色』の強い作品、私は嫌いじゃないがな……。」
去り際に呟いた司令の一言を私は聞き逃さなかった。私の『ものづくり』はまだ始まったばかりだ。私の『ものづくり』大学生活は、これからも続く―――。
『ものづくり入門』の授業は本当に楽しかったです。ありがとうございました。